竹原・東広島のAI導入を支援するSazanami Worksの木本修司です。

車って、便利ですよね。遠くまで行けるし、重い荷物も運べる。仕事でも生活でも、本当に助かります。

でも、「便利らしいから乗ってみよう」で、操作も交通ルールも知らないまま道路に出たら。これは怖い。

アクセルを踏めば進む。それだけ分かっていても、ブレーキの使い方や、スピードが出ている車はすぐには止まれないことを知らなければ、安全には運転できません。信号も一時停止も知らず、周りの車もそれぞれ好きなルールで走っていたら、ちょっと買い物に行くだけでも大変なことになります。

だから、運転する前に操作や車の特性を学ぶし、道路では共通の交通ルールを守る。便利なものだからこそ、ちゃんと知ってから使うわけです。

AIも、同じようなところがあると思っています。

文章を貼り付けたら、あっという間に要約してくれる。メールの返事も考えてくれる。これは助かる。ただ、その文章をAIに渡していいのか、出てきた答えは本当に合っているのか。そこを知らないまま使うと、会社の情報を外に出してしまったり、間違った内容をお客さまに伝えてしまったりするおそれがあります。

操作が簡単だと、このあたりを飛ばして使えてしまうんですよね。「ここに入力すれば動く」と「仕事で安心して使える」の間には、確認しておきたいことがあります。

たとえば、「AIが流行っているし、自分の仕事でも使ってみよう」「この資料、AIでまとめたらみんな助かるんじゃないか」。そう思って、会社に確認せず、自分のアカウントで仕事の資料を読み込ませる。会社で使っていいか分からなくて、周りには言わず、こっそり使うこともあるかもしれません。

仕事を早く終わらせたい。みんなの役に立ちたい。その気持ちは分かります。でも、会社はその使い方も、どんな情報が入力されているかも知らない。

こうした、会社の承認や管理の範囲外で行われる業務上のAI利用を「シャドーAI」と呼びます。名前はちょっと強そうですが、身近な仕事の中で起こりうる話です。

今回は、「社員が何のAIを使っているか分からない」「使い始めたいけど、ルールはまだない」という会社の方に向けて書いています。車の運転と同じように、使い方とルールをセットで考える。何から決めればいいのか、一緒に整理してみましょう。

シャドーAIは、会社から見えないAI利用

シャドーAIとは、会社の承認や管理の範囲外で、従業員がAIを業務に使っている状態を指します。IPAも、未承認のAI利用による情報漏えいや、不正確な出力が仕事の品質に影響するリスクを取り上げています。IPAの解説を読む

たとえば、次のような使い方です。以下は、利用場面を考えるための架空例です。

  • 会社に確認せず、個人のスマートフォンから仕事の資料をAIに読み込ませる。
  • 会社で認められていないアカウントに、お客さまとのやり取りを貼り付ける。
  • 会社が把握していないAI機能や拡張機能で、社内文書を読み取らせる。

ここで気になるのは、会社が情報の扱いや利用条件を確認できていないことです。まずは「どんな仕事に使っているの?」と聞くところから。使っている理由も聞いたうえで、認められる使い方と、いったん止めて確認する使い方を整理したいところです。

まず、一つの仕事で考えてみる

いきなり「社内のAIルールを全部作ろう」となると、何から手をつければいいか迷いますよね。まずは、いつもの仕事を一つ選んでみる。メールの下書きでも、会議のメモでも構いません。その仕事について、私は次の四つを確かめる進め方を提案しています。

  1. 任せる仕事

    何に時間がかかり、どの部分をAIに手伝ってほしいか。

  2. 扱う情報

    どの情報を渡すか。個人情報や非公開の内容が混ざっていないか。

  3. 使う環境

    会社が認めたサービス・アカウントか。保存や共有の条件はどうか。

  4. 人の確認

    何を、誰が確かめてから仕事に使うか。迷ったときは誰に聞くか。

「どの仕事が少し楽になると助かりますか」。そこから聞いてみると、使いたい理由が見えてきます。毎日の作業とつながっているほうが、ルールを読む人も「ああ、このときの話か」と考えやすいと思うんです。

その資料、AIに渡して大丈夫?

サービスの契約や設定によって、データの保存、学習への利用、共有できる相手などの条件は異なります。個人情報保護委員会も、利用目的の範囲や、入力した個人データが学習に使われないこと等を確認するよう注意を促しています。個人情報保護委員会の注意喚起

「じゃあ、何なら入力していいの?」となりますよね。社内で話すときは、こんなふうに分けると考えやすくなります。以下はルールを作るための例です。実際の利用可否は、会社の方針・契約・サービスの条件に合わせて決めます。

公開情報や架空データで試す
自社で公開したイベントの概要や、練習用に作った架空の文章など。会社が認めた環境で、下書きや構成づくりから試します。
非公開の資料は、入力前に確認
見積書、契約書、顧客とのメール、社内の議事録など。必要な許可や利用目的、提供先の取扱条件を確かめます。
認証情報は、その場で入力しない
パスワード、認証コード、秘密鍵など。操作に困ったときも、秘密の値を貼り付けず、状況だけを説明して担当者に相談します。

「名前を消せば大丈夫かな」と思うかもしれませんが、日付や案件の条件を組み合わせると、誰の話か分かる場合もあります。まずは架空の内容で、同じ作業を試せないか。実際の資料を渡す前に、一度考えてみてほしいです。

研修では、普段の作業を一つ試してみる

車の教習でも、説明を聞くだけで、すぐ思い通りに運転できるわけではないですよね。AIの研修でも、操作を覚えながら「これは渡していいのかな」「ここは自分で確認しよう」と、一つの作業を実際に試してもらいたいと思っています。たとえば、こんな練習です。

練習の例:架空の体験会の案内文をつくる

AIに渡すもの
練習用に作った開催概要。顧客名簿や実際のメールは使いません。
AIに任せること
案内文の構成や、伝わりやすい表現のたたき台を考えること。
人が確かめること
日付・金額・宛先、事実との違い、約束できない内容が混ざっていないか。

一緒にやってみると、「この情報、渡さなくても作れたね」「ここは人が判断したいね」と、具体的に話せます。その気づきを短い社内ルールに残す。自分たちで試して納得したことなら、普段の仕事でも思い出しやすくなるんじゃないかなと思います。

利用条件の確認や、生成された内容を人が確認することは、IPAの中小企業向けガイドラインでも取り上げられています。

「これ、使っていい?」と聞ける会社に

ルールを作っても、「この資料はどうなんだろう」と迷う場面は出てくると思います。そのとき、入力する前に「これ、使っていい?」と聞ける人がいると助かります。使えるサービスの一覧と一緒に、相談先も書いておきたいですね。

もし、入力してはいけない情報を送ったかもしれないときは、追加の入力や共有を止め、利用したサービス・日時・情報の種類を社内の担当者に伝えます。必要な対応は、担当者がサービス提供元や専門家と確認します。

相談したら怒られるかもしれない、と思うと、言い出しにくくなってしまいます。「早く教えてくれて助かった」と受け止められる会社にしたい。ルールと一緒に、そういう空気も作っていけたらと思います。

現場の仕事から、使い方を一緒に整える

私がAIでつくりたいのは、大切な仕事や、人との関わりに使える時間です。だから、まずは「いつもの仕事で、何に困っていますか」と聞きたい。何を任せたいかが分かれば、その仕事に合う使い方やルールも、一緒に考えられます。

合同会社Sazanami Worksでは、竹原・東広島を中心に、AI研修や導入・業務改善の相談をお受けしています。「何を使っているか把握できていない」「社内で共通の使い方を考えたい」という段階から、ご相談ください。

当社の情報の取り扱いは、情報セキュリティ基本方針にまとめています。最初のご相談では、機密資料を添付せず、「こんな仕事をしています」と概要を聞かせていただければ大丈夫です。

よくある質問

有料・法人向けのAIなら、そのまま使えますか?

料金やプラン名だけでは判断できません。契約、データの保存・学習利用、管理者の設定、共有先などを確認し、自社の方針に合う環境で利用します。

社内ルールがまだなくても相談できますか?

はい。今の仕事と、使いたい場面を整理するところからご相談いただけます。研修や支援の内容は、業務と参加する方に合わせて検討します。

この記事は、2026年10月16日に確認した公的資料と、当社が提案する進め方をもとに作成しています。サービスの利用条件・設定は変わるため、利用時点の公式案内をご確認ください。